第36章 道端で人を救う

江海市督軍の御用邸には、すでに大勢の人間が押しかけていた。目的はただ一つ――督軍の病を治すこと。

もし治せた者がいれば、莫大な報酬はもちろん、一夜にして名が売れる。得られるものは数え切れないほどだ。

その情報を掴んだ中山紗奈は、すぐさま工藤達央へ電話を入れた。

達央は、こんなに早く龍血草の手がかりが出るとは思っていなかった。胸の奥が、すっと軽くなる。

「工藤さん。あとで江海市督軍の資料と、病状の詳細を送りますね」

受話器の向こうで、紗奈が言う。

「うん。助かる、ありがとう」

達央はそう返して通話を切った。

中山紗奈に頼んだのは正解だった。昨日頼んだばかりなのに、もう動いている...

ログインして続きを読む